2010年 08月 17日
そうそうO師の紹介で読み始めた「西村賢太」に最近ハマっています。 小説のモチーフはいつも同じで「風俗狂い」、「ある作家への心酔」、「恋人に対するDV」、この3本柱。作家としての道を歩き始めた数年間の出来事に集中している。 大体、主人公はいつも、 恋人が欲しくて、欲しくて、風俗通いのあげく、風俗嬢に金をだまし取られる。 ↓ ある作家への心酔の余り、その菩提寺から墓標を自宅に貰い受ける。 ↓ 低学歴で満足な仕事に就けず、ふとしたきっかけで恋人をひどく殴る。 のループを無様になぞり続ける。ほぼ実話を元にしているのだそうだが、この糞っぷりが痛快。何冊本を上梓しても、西村の世界はこの数年間の出来事の話から一向に離れる様子が無い。逃げられた女への未練は相当に強いのか?一時でもこの女との同棲期間が夢のような日々であったのか? 繰り返し繰り返し、主人公は酒に痺れた足取りでフラフラと現れては、風俗嬢にダマされ、墓標を拝み、女をぶちのめす。 ダマされ、拝み、ぶちのめす。 ダマされ、拝み、ぶちのめす。 なにかとてつもない彫刻を彫り上げるためかのように、何度も何度も執拗にその数年間のイメージを素描する執念。多くの作品で繰り返し再現されるそのシーンは、マルチアングルのカメラ視点が小説にも成立する面白さを感じさせる。 どこまでも「自己中心」なその強烈な重力。
by vjcomiccut
| 2010-08-17 02:07
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